お伝えしたいことは「運命は改善できる」ということです。
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02/23
おでん三吉
                 澤谷 鑛

 先輩から、このような実話を聞いた事があります。

 終戦間もなくの頃、役所勤めをやめて、御主人は慣れないおでん屋を開きました。夫婦二人での出発です。
 年の瀬も迫ったある大雪の日、凍った夜道を夫婦二人連れの流しが、駅の方からやってくると、暖を求めて店に入ってきました。女性が赤ちゃんを抱いているのをみて、入口から奥の方に案内しました。
「寒かったでしょう。少しでもあったまって行って下さい。一本つけましょうね。どうぞ赤ちゃんのおむつを替えてあげて下さいね」
 流しの夫婦は、東京から初めて仙台へ来たのですが、あいにくの吹雪で仕事にならず、身も心も凍りついていました。
 ようやく赤ちゃんの頬に紅がさすようになり、流しの夫婦にも笑顔が浮かぶようになりました。美味しいおでんが生気を取り戻させたのでしょう。やがて、
「つい甘えて、長居をしてしまいました。いろいろと御親切にしていただき、ありがとうございました。おかげさまで生き返りました」
 御礼を言って、あかちゃんと夫婦は寄り添うように店を出ました。雪の中を傘もささずに歩いていく後ろ姿に、何かハッとするものを感じました。あわてて奥に入ってお金を包むと、奥さんに、
「これを届けてあげなさい」
 と手渡しました。奥さんは、黙ってうけとると、雪道をころばぬように気をつけながら、追いかけました。やっと追いつくと、
「ちょっとお待ち下さい。これを持って行って下さい」
 包みを渡そうとすると女性は、
「それは受けとれませんわ。すっかり御親切にしていただいて、私たちが、どれだけ嬉しくおもっていることか、今も二人でそう行っていたところですよ。その上に、さらにいただくわけにはまいりませんわ」
 こう言って押し返そうとする手を押さえて、奥さんは言いました。
「いいんですよ。このご祝儀は、お二人にではなくて、あかちゃんへのものです。どうぞ受けとって下さい」
 なんどもふり返りお辞儀をしていく親子の無事を祈りながら、別れました。

 それから二十年の歳月が流れました。
 おでんの三吉さん夫婦は、そんなことがあったことなどすっかり忘れていました。
 あるとき、若い女性が「おでん三吉」の玄関にたたずみました。
「御主人におめにかかりたいのですが……」
 と言っているといいます。御主人がトレードマークの鉢巻きをして出て行くと、何か簡単ではない雰囲気を感じ、娘さんを座敷へと案内しました。すると娘さんは、サッと畳に両手をついて言いました。
「ご主人さま、その節はありがとうございました」
 そう言って、大きな瞳に涙をいっぱいためています。
「その節とは、一体いつのことでしょうか?」
「もう二十年も前のことです。年の瀬も迫った大雪の晩を覚えておられますか。あのとき赤ん坊を抱いた流しの夫婦がお店を訪ねてきたことがあるはずです。あのときの赤ん坊が、実はこの私なのです」
 美しいその娘さんは続けて言いました。
「私は父母から、くり返し、くり返し、何度も、何度も、聞かされました。初めて訪ねた仙台で、大雪の凍りつくような晩、おでん屋さんに救われた、と。親切にしていただいた上に、大金のご祝儀をいただいた。あのときのご恩を忘れてはいけない。私たち一家は、“おでん三吉”さんに助けられたんだよ。お前が大きくなったら、必ず御礼に行きなさい。そう両親から何度も聞かされて育ちました。本当にありがとうございました。今日は、仙台の公演があるというので、私はぜひ伺って、御礼を申し上げたくて、はやる心を抑えてやって来ました」
 記憶の糸をたぐりよせるように思い出そうとしました。奥さんを呼んで聞くと、
「そうでしたね。そんなこともあったような気がしますね」
 と言われます。なにしろ二十年前の話ですから、はっきり思い出せないのも無理はありません。
「ところで、あなたのお名前は何といわれますか?」
「はい。いま私は、藤圭子という名前で歌手をしています」
 あの大雪の日に訪ねてきた流しのご夫婦の赤ちゃんは、いま成人して、藤圭子というスターになっていました。しかも恩を忘れるな、という両親の言葉を守って御礼にやって来られました。
 藤圭子さんが年一回の「三吉後援会」に友情出演するなど、おでん三吉夫婦との新しい交際がはじまったのは、それ以降のことでした。

“怨みは水に流せ、恩は石にきざめ”と言いますが、昔の行きずりの恩を忘れずに、のちに御礼に訪ねてくるということも、なかなかできるものではありません。親切をした方も、すっかり愛を施したことを忘れているのです。
“陰徳は弧ならず”と言いますが、こうした陰徳の積み重ねがあって、おでん三吉の不況知らずの繁栄があり、藤圭子さんの娘さんの宇多田ヒカルさんの活躍なども、このような出会いの縁(えにし)の糸がむすばれた信頼の絆が大きく影響しているように思います。

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コメント

いま
“怨みは水に流せ 恩は石に刻め”

昔、怨みを水に流して。その相手が生涯の恩人に変わった経験があります。もう10年も前のことです。

再び、こういう経験をいましてます。
有り難いことです。

そうして。一番、恩に応えたくて。
まだ、できてない人もいます。
私をずっと支えてくれてきた人です。

「誠実」「謙虚」

必ずいつの日か。そう思ってます。

“陰徳を積む”こと。
意識していきたいです。

そうして。自分がしてあげたことの価値を。
相手がわかってくれなくても。

ちゃんとわかってくれている相手を心の眼でみて。
そうできる自分を信頼し相手を信頼し。
そうできるようにサポートしつづけてくれてきた、たくさんの人たちを信頼し感謝しようと思います。

ありがとうございます。




りん [URL] 2016/02/23(火) 06:54 [編集]

無意識にできてこそ、陰徳
自分がなしたことは自分で覚えていなくても
人様には強い印象を残すことを
澤谷鑛先生の話を読みながら感じました。

自分にとっては何気ないことが
人に影響を与える。

もしそうでなるならば、人様にとって
よい影響が出るような関わりをしたいものです。
その為にも、『陰徳』を積む心がけを
つねに持って日々、過ごしていきます。

また、別の角度から見てみますと
『私は、藤圭子さんのように受けたご恩に対し
 礼を尽くせているのか?』ということです。

日頃、受けている恵みに対し
感謝を感じる心を養っていきます。

そして、感謝を感じられたなら
ただ、ありがたいと感じるだけでなく
その感謝を素直に表現できる人でありたい。
そう感じました。

『怨みは水に流せ、恩は石にきざめ』
『陰徳は弧ならず』
いい言葉を知ることができました。

澤谷鑛先生
出会いの縁にまつわるお話
ありがとうございます
よし [URL] 2016/02/23(火) 08:58 [編集]

りんさん。

“怨みは水に流せ 恩は石に刻め”
ですか。なるほど。そうしたいですね。

「サポートしつづけてくれてきた、たくさんの人たちを信頼し感謝しようと思います」
と、いわれていますが、その最初がご両親なのでしょう。
ご両親を信頼し感謝するところから、始まるのでしょう。


澤谷 鑛 [URL] 2016/02/23(火) 09:04 [編集]

よしさん。

「自分がなしたことは自分で覚えていなくても、人様には強い印象を残す」
と書かれていますが、人生というこの時空間において、出会い、つながり、むすぶことでみずからの自分をみつめ、おのずからの自分と出会うことになるのでしょう。

澤谷 鑛 [URL] 2016/02/23(火) 09:12 [編集]

素晴らしいお話し、感動しました! 見返りを求めない愛は、必ず返ってくるのですね!
妃多香 佳子 [URL] 2016/02/23(火) 21:16 [編集]

妃多香 佳子さん。

ドイツでもそうですよね。それともあなたが日本人だからでしょうか?
澤谷 鑛 [URL] 2016/02/23(火) 21:18 [編集]

ドイツも同じです。敬虔なクリスチャンの方が多いので、特にクリスチャンの方は、神様のようです。
国全体も見返りを求めず、難民、移民を多く受け入れ、紛争で傷ついた子どもの手当てをしてあげたりしています。
天文学的な見返りを求めない経済が動いています。ただ、国民ひとりひとりを眺めたときに、情け深い印象は日本人の方のような気がします。
妃多香 佳子 [URL] 2016/02/23(火) 21:20 [編集]

妃多香 佳子さん。

すばらしいですね。人間は皆神様のようなものなのかも知れませんね。誰もがしあわせを求めていますしね。
あなたのドイツにおられる使命もおのずから果しておられるように思います。すばらしいですね。
澤谷 鑛 [URL] 2016/02/23(火) 21:22 [編集]

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