お伝えしたいことは「運命は改善できる」ということです。
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05/16
つぐない(下)
        黒部真理子

父はお金も友人も失い、後妻の後をくっついているだけのヒモとなり、後妻に捨てられることを極端に恐れていました。
後妻のご機嫌取りばかりしていて、幸せとは程遠い生活のように私には見えました。

それでも父は自分にとって利用価値のある人からは離れたくないという思いだけは強かったようで、後妻の機嫌を取るために私に寝たきりの祖母の介護を押し付けたのでした。

父は自分にとっての損益を常に考えていて、その時その時で都合のいい方を選んでいました。
強い側に付いて要領よく生きようとしていただけだったのですが、そうした生き方が周囲の人たちを傷つけて、恨まれる人生となっていました。
以前からわずかにいた友人らしい人達もすっかりいなくなりました。
父は他の道もあるのに、わざわざ自滅の道を選択して歩んでゆきました。

あの父と言う人は、本当はどんな人なのだろうと私は思うのでした。
父自身が祖父母からものすごく愛されていたことに気付いて、何か大切なものを取り戻してくれたらいいなと私は願っています。

***

君には本当に悪いことをしたと思っている。
僕はこの罪を償わずにはいられない。

あの時、味方になってあげなかった僕が悪かった。
君は悪いことなんてしていなかったのに。
君は、母親のくせに浮気をしたと言われ、もうこの家に帰ってくることができなくなった。
僕が助けなかったからだ……。

君は一人ぼっちだった。
君は産まれたばかりの子供とも会えなくなった。
君は声をあげて泣いていた。
僕はそんな君を最後まで助けなかった。

君が僕のことを愛していてくれたことを僕はわかっていた。
君は僕のために何でも我慢してくれた。
僕はなぜもっと君を大切にしなかったのだろう。

僕は馬鹿だ。
僕は最低の人間だ。
虫けらだ。
いや、それ以下だ。

君の気持ちを味わうために、僕はすべてを失った。
僕は君の気持ちがわかるようになった。
親ももういない。
娘も離れて行った。
妻からは愛されているとは言えない。
周囲は借金取りと敵しかいない。
君の孤独も、物もお金もない不自由さも、わかるようになった。

君は許してくれるだろうか、こんな僕を。
僕は君を大切にしなければいけなかった。

妻であり母となった君を、大切にしなければいけなかった。

***

父に小さな悪魔が宿り始めた頃、ちょうどその時の父は自分の未来に不安を感じていた。
これでいいはずはなかった。
これで済むはずがなかった。

私は当時の父に会った。
若い頃の父だったが、私のことを一瞬で誰だか認識した。
私はその若い父に、私の知っている父の姿を見せた。
悪い人達からお金を巻き上げられ、あっという間に祖父の貯えを使い切り、独りで寂しく背中を丸めて座っている父の姿。

若い父は、その光景を理解して、わなわなと唇を震わせていた。

私と父は別の場所に行った。
私は父の背中を押して、立ち去った。

父は母と親戚の男性が乗った車を見つけて、窓をノックして母に話しかけた。
「すまなかった。君には本当に悪いことをした。充分なお金は出せないかもしれないけど、君の希望を聞かせて欲しい。」
母は言った。
「私の赤ちゃんを返してくれれば、それでいいです。」

父はうつむいてその場を立ち去った。
しばらくして赤ん坊を抱いて戻ってきた。

母はその赤ん坊を受け取ると、大切そうに抱えて車に乗った。
彼女は父の目を見て言った。
「さよなら。」

「ああ。」
父は中途半端な返事をした。

夫婦の最後の会話だった。

車は雪国の遠い町に向けて走り去っていった。

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コメント

みえる世界の奥
お父さんの微かなよい心がみえたんですね。
でも、真理子さんにとって、お母さんとの絆のように確かな絆は。見いだせなかったのですね。

年月が経ちデトックスが進み。そうしたときに。
現象のお父さんの奥にある本質に触れるときが。
くるのかもしれませんね。

裏切られたり、傷つけられたり振り回されたり。
けれど。その人もまた仏さまの子であり。自分もまた、仏さまの子であり。

みえる世界の奥をみていくことなのですね。
ありがとうございます。
りん [URL] 2016/05/16(月) 18:05 [編集]

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