お伝えしたいことは「運命は改善できる」ということです。
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06/30
再会(後編)
       たかまる全

3年後、私は関西の仕事を任されることになった。
責任者として、社長の期待にも応えたい。
何とか成功させたい。

スタートする前に、一度帰省して、親父に会っておこうと思った。

プルル~プルル~
「あ、俺だけど」
「元気にしてる」

この3年間でなんどかやり取りしたせいか、以前のような緊張感はなかった。

「今度、地元に帰るから、1度会おうよ」
「あ~~」
親父が渋っているのを感じた。
「生きてるうちにさ」

「そうね、そうやね……会いずらいけど」

待ち合わせ場所は、博多の住吉神社前だった。

再び緊張がこみ上げてきた。

考えたら不思議な関係である。
親子なのに、会うのに緊張するなんて。

約束の夜8時になった。

プルル~
電話が鳴った。
親父からだ。
「はい、もしもし」
「あ、僕だけど、もう来てる?」
「来てるよ」
「わかった、すぐ行く」

緊張してるのは、お互い様である。

駅の方から身長160cmぐらいの小柄な男性が歩いてきた。
遠目から親父だとすぐわかった。
親父は照れ臭そうに、笑顔で現れた。

15年ぶりの再会だった。

相変わらずのパンチパーマに、少し日に焼けた肌。
全く変わってなかった。
だだ、顔にやさしさがにじんでいた。

それから、近くのすし屋で食べながら、これまでの親父の歩みを聞かせてもらった。
人生が上向き始めたのはここ10年。
「もうダメかなと思ったけど、おふくろになんか守られてる気がする」
そんな事を言っていた。

父の母は、もう30年前に亡くなっている。
そして、父の父は物心つく前に亡くなっていた。
父は、父の後ろ姿を見ずに育っている。

人は皆守られている。私もそんな気がする。

この時、親父は70歳。
昼間は、個人で住宅リフォームの仕事を請け負っていた。
そして、夜はスナックの経営をしていた。

すし屋を出た後、親父が、
「うちの店にくる?」
と言ってきた。
「じゃあ、ちょっとだけ寄って帰るよ!」
店の前に来てビックリした。
屋号が「夏美」

別れた家内と同じ名前だった。

別れた家内と親父は、親戚の葬儀で一度だけ会った事がある。
15年前である。
親父と会ったのは、私もそれが最後だった。
当然、前妻の名前など知るはずもない。

中に入ると職人風のお客さんとママがいた。
ママは親父の再婚相手だった。
(まさか、前妻と同じ名前?)
と思った私は、
「なんで、店の名前、夏美なの?」
と聞いてみた。
「あ~、夏に出したから」
と、さらっと返された。
心の中で、
(いくら、夏に出したからって同じ名前つけるかね~)
と思いつつも、なぜかホッとした。

親父が笑顔で私に、
「この店は、良いお客さんばっかりなんだよ!」
「この辺で、夜、満席になるのはここぐらいなんだよ!」
と、誇らしげに言った。

その時見た、親父の瞳のきれいだったこと。
ガラス球のようだった。

その後、二組のお客さんが入ってきた。
親父が、
「息子が来るから、みんなに紹介したいから」
と呼んだらしい。

その日は、随分飲んだ。
気が付いたら、隣で左官の寺さんが泣いていた。
「良かった、本当に良かった」

それを見た私は、
「本当にいいお客さんに囲まれているな」
と思った。

今、父親がどんな生き方をしているのかがそこに現れているようで、安心した。

帰り際、タクシーを拾ってくれた親父は、私のポッケに1万円札を
入れた。タクシーに乗り込む際にもう1枚。さらに、もう1枚。
「ちょっと、無理してるな」
と思ったが、その気持ちがうれしかった。

あれから5年、なんどか連絡は取り合ったが、一度も会っていない。

でも、あの日は私にとって、自分自身と和解した大切な1日となった。

その後、関西での仕事が驚くほど上手くいったのは、見えない世界からの
プレゼントだったのかもしれない。

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